
校長コラム:260620|「期待以上」を届ける人——コンシェルジュという仕事の世界
「仙台でおすすめの牛タン屋さんはどこですか?」
そう聞かれたとき、「〇〇店が有名です」と答えるのは、誰でもできます。
でも、コンシェルジュはそこで終わりません。
「今夜のご予算はいかがでしょうか」「お子様はいらっしゃいますか」「お時間はどのくらいお持ちですか」——いくつかの質問の後、その方だけのために最適な一軒を選び、予約まで入れて、地図に手書きでメモを添える。
それが、コンシェルジュの仕事です。
「答え」ではなく「最良の答え」を出す
コンシェルジュに求められるのは、情報ではなく**「判断」**です。
お客様が言葉にした要望の裏にある、本当のニーズを読み取る力。「近くて安い店」と言いながら実は「特別な雰囲気の場所」を求めていることもある。その空気を読んで、期待の少し上を行く提案ができたとき——お客様の顔が、ぱっと明るくなります。
その瞬間が、コンシェルジュの醍醐味です。
実習先のホテルで、こんな場面を経験した学生がいます。
初めて日本を訪れた外国人のお客様が、「仙台名物の牛タンを食べてみたいが、牛の舌を食べる習慣がなく、正直なところ少し不安だ」と打ち明けました。
そのとき、学生はすぐに「では仙台の有名店はこちらです」とは案内しませんでした。まず一つ、質問をしたのです。
「ステーキはお好きですか?」
お客様は「もちろん、大好きだ」と答えました。
そこで学生が案内したのは、薄切りではなく厚切りの牛タンステーキを提供する店でした。食べ慣れたステーキの食感に近く、しかし仙台ならではの旨味がある——そのお客様にとって「最初の一枚」として最適な一軒です。
翌日、お客様はわざわざフロントに戻ってきました。「あれは最高だった。仙台に来て一番の体験だ」と。
ただの「情報提供」ではなく、その人を知り、その人のために選ぶ。それが、最良の答えを出すということです。
「引き出し」が多ければ多いほど、面白い
コンシェルジュは、知識の幅が武器になります。
グルメ、観光、交通、文化、歴史、季節のイベント——「この人に聞けば何でもわかる」と思ってもらえる存在になること。そのために日々、街を歩き、本を読み、人と話す。勉強が仕事に直結する、とてもやりがいのある職種です。
「あなたに相談して本当に良かった」と言ってもらえる日のために、今日も引き出しを増やし続ける。
それが、コンシェルジュという仕事の生き方です。


