
校長コラム:260606|舞台を整える人——レストランという「非日常」を演出する仕事
誕生日のサプライズ、記念日のディナー、大切な人とのはじめての食事——。
レストランに予約を入れるとき、人はただ「お腹を満たしたい」と思っているわけではありません。その夜を、特別なものにしたいと思っています。
その期待に、どう応えるか。それがホテルのレストランスタッフに問われることです。
プロポーズの夜を支えた、一杯のワイン
あるホテルのレストランで、記念日ディナーの予約で来店された一組のカップルがいました。テーブルにご案内した際、男性がそっとスタッフに耳打ちをしました。「今夜プロポーズするんです」と。
しかし男性はとても緊張していて、食事が進みワインをすすめようとしても、リストからうまく選ぶことができない様子でした。
すかさずスタッフは、さりげない会話でリードしながら、まるで男性が自分で選んだかのように、食事にぴったり合う、彼女が喜びそうな一本を提案しました。
後日、そのカップルから手紙が届きました。「あの夜は本当にありがとうございます。一生の思い出です」と。
演出とは、大げさなことではありません。気づき、動く。その積み重ねです。
「その瞬間」を知っているから、動ける
ホテルのレストランが一般のレストランと大きく違うのは、スタッフが「その瞬間の重さ」を知っていることです。
お客様がここに来るまでの気持ち、期待、緊張——それを想像できる人が、最高の演出をする人になれます。
インターンシップで初めてその感覚をつかむ瞬間があります。「ただ料理を運ぶだけじゃなかった」——その気づきが、あなたをプロへの道に連れていきます。
本校では、在学中から実際のホテルレストランの現場に立ちます。教室では教えられない「その瞬間」の重さを、体で覚える場所がYMCAにはあります。


